≪論文要旨≫

    

無形資産に対する市場国課税への経緯と進展

酒井翔子(嘉悦大学)

 

(要旨)

 本稿は、デジタルプラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業による租税回避問題に関して、従来の移転価格税制における「PE無ければ課税なし」・「独立企業間価格」の国際課税原則が適切に機能していない現状を言及することを目的としている。 さらに、近年の無形資産に対する国際課税のOECD議論と利益に基づく独立企業間価格算定の歩みを整理することにより、新しいビジネスの出現によって顕著となった市場国の課税とその税収配分方法の検討を行う。

 

 

所得税法上の寄附金の取扱いに対する日中台比較

高橋孝治 (一般企業勤務/立教大学アジア地域研究所特任研究員 /韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員)

 

(要旨)

 本研究は、所得税法における寄附金の取扱いについて、日本、中国、台湾で比較検討をするものである。比較法研究というと、欧米諸国との比較が多かったが、最近はアジアとの比較も増えてきた。しかし、それでも租税法の分野においては、アジアとの比較法研究は盛んではない。本稿はこの研究の穴を埋めるためのものである。本稿では、日本、中国、台湾の所得税法上の寄附金の取扱いがどのように変化してきたのかを紐解きながら、その比較を試みる。

 本稿では、その結論として以下のように述べる。日本は寄附金に関して控除を得るための上限額が中国や台湾と比べて高く、さらに一定の政治活動などの寄附も寄付金控除として認められるという点に特殊性がある。これに対し、中国は寄附金による所得控除は非常に厳格な要件を求め、台湾については寄附金による国防を重要視していると述べる。

 

 

≪論文要旨≫

    

無形資産に対する市場国課税への経緯と進展

酒井翔子(嘉悦大学)

 

(要旨)

 本稿は、デジタルプラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業による租税回避問題に関して、従来の移転価格税制における「PE無ければ課税なし」・「独立企業間価格」の国際課税原則が適切に機能していない現状を言及することを目的としている。 さらに、近年の無形資産に対する国際課税のOECD議論と利益に基づく独立企業間価格算定の歩みを整理することにより、新しいビジネスの出現によって顕著となった市場国の課税とその税収配分方法の検討を行う。

 

 

所得税法上の寄附金の取扱いに対する日中台比較

高橋孝治 (一般企業勤務/立教大学アジア地域研究所特任研究員 /韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員)

 

(要旨)

 本研究は、所得税法における寄附金の取扱いについて、日本、中国、台湾で比較検討をするものである。比較法研究というと、欧米諸国との比較が多かったが、最近はアジアとの比較も増えてきた。しかし、それでも租税法の分野においては、アジアとの比較法研究は盛んではない。本稿はこの研究の穴を埋めるためのものである。本稿では、日本、中国、台湾の所得税法上の寄附金の取扱いがどのように変化してきたのかを紐解きながら、その比較を試みる。

 本稿では、その結論として以下のように述べる。日本は寄附金に関して控除を得るための上限額が中国や台湾と比べて高く、さらに一定の政治活動などの寄附も寄付金控除として認められるという点に特殊性がある。これに対し、中国は寄附金による所得控除は非常に厳格な要件を求め、台湾については寄附金による国防を重要視していると述べる。